ukyokyokyo’s diary

主に映画のご紹介、視聴感想をお話します。

『エクソシスト』ホラーの裏に隠れた衝撃の真実

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映画『エクソシスト』の紹介

概要


少女に憑依した悪魔と神父の戦いを描いたオカルト映画の代表作であり、その後さまざまな派生作品が制作された。本国において1973年の興業収入1位を記録した。第46回アカデミー賞の脚色賞と音響賞を受賞。

 

題名となっているエクソシストとは、英語で"悪魔払い(カトリック教会のエクソシスム)の祈祷師"という意味である。

 

出演・監督

 

監督

出演

 

あらすじ

 

イラク北部で遺跡を発掘調査していたランカスター・メリン神父は、悪霊パズズの像を発見する。彼は「この邪悪な宿敵と再び対峙する日が近い」と予感する。

女優のクリス・マクニールは映画撮影のためにワシントン近郊のジョージタウンに家を借り、一人娘のリーガンと共に滞在していた。

ジョージタウンに住むデミアン・カラス神父は時々、ニューヨークに住む母親を見舞いに訪ねている。母親はギリシャからの移民で、ラジオでギリシャの音楽を聴いている。

クリスはやがてリーガンの異変に気付く。その声は邪悪な響きを帯びて形相も怪異なものに豹変したうえ、荒々しい言動は日を追って激しくなり、ついには医者からも見放される。

 

ウィキペディアより引用

 

映画『エクソシスト』を見た感想や解説

エクソシスト』は怖いだけではない?(感想)

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映像が怖い映画は沢山あります。
この『エクソシスト』もそのうちの一つ。

 

リーガンの変貌の仕方が
かなり恐ろしくおぞましいものですよね。

首が180度回転

緑の吐瀉物

見た目の変化

スパイダーウォーク

 

かなりの有名作品なので
皆様も一度は目にした事があるんじゃないでしょうか?

そして、小さなころに視聴して
「怖すぎてトラウマになった」というのが大多数だと思います。

 

私もそのうちの一人です。

可愛らしいリーガンが、
恥部に十字架をブッ刺して
下劣な言葉を連発しているシーンは
一生忘れもしません。


当時大泣きしながら
「もう絶対に見ない」と誓いましたw

 

ですが大人になり、トラウマ克服も兼ねて
意を決して薄目を開きながら視聴しました。

 

端的に感想を申し上げますと

 

「時代背景や当時のカトリックについて、
これ以上にないぐらい勉強になる」

 

「役者さんの演技力が凄すぎる」

 

「悪魔を取り扱った映画で
この『エクソシスト』を超える作品は未だない」

 

というところでしょうか。

私自身、キリスト教徒ではないので
ファンタジーに感じました。

ホラーではなく、あくまでファンタジー

 

大人になってやっとカラス神父の
苦悩の意味がわかったというか、

公開当時だからこその
カトリックの事情などがはっきり見える。

本当に素晴らしい作品だと思います。

 

なんでもっと早くしっかり見なかったんだろうと
後悔しておりますw

 

それぐらい面白いんですよ!

 

 

 

エクソシスト』は当時のカトリックの状況がよく分かる(解説)

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私は、この映画での主人公は
「リーガン」ではなく「カラス神父」だと考えています。

なんとなく見ているだけだと、カラス神父は
「リーガンの被害を悪魔の仕業と認めない情けない神父」
に見えてしまうんですよね。

ですが、このカラス神父の最初の対応が当たり前だったんです。

 

エクソシスト公開当時は悪魔の存在は一般的ではなかった

 映画が公開された1973年。
実は1970年代はカトリックの中でも悪魔の存在は一般的ではなかったのです。

実際にキリスト教カトリック教会では
「悪魔祓い」という風習はありました。

ですがあくまで歴史や知識としてであり、
実行される事が極稀にしかないという背景があります。

映画の中でもカラス神父が「悪魔祓いをする条件は満たしている」と
判断した時、教会の偉い神父が
「悪魔祓いの実績があるのはメリン神父しかいない」と
言っていましたよね。


当時「エクソシスト(悪魔祓い)」
という言葉の認知度のアンケートがあったそうで、

「知っている」という回答がほとんどなかったようですね。


この映画でその言葉が一般人にも認識され、
実際に悪魔祓いが実行されるのが多くなったのです。

現在は悪魔やエクソシストを取り扱った映画や漫画もたくさんありますが、
それはこの映画がきっかけなんですよ!


だからこそ今見るとカラス神父の対応を見ると

「なんで早く悪魔と認めないんだ」

と思ってしまうのも無理はないかと思います。

ただ、こういった背景を理解しながら見ると面白さ倍増ですw

 

 

悪魔祓いの方法はかなりシンプル!?

 映画『エクソシスト』を見ていると、
メリン神父、カラス神父は必死になって聖書を読み上げていましたね。


「え、悪魔祓いってそれだけなの?」


と思ってしまうかもしれません。
現代はエクソシスムを
取り扱っている作品が沢山あり、
中には超能力や特殊能力、
派手な武器で悪魔と戦っているのが殆ど。

 

ですが実際には、
この映画の悪魔祓いの方法は、正しいものなのです。

 

悪魔祓いを執り行うにも、しっかりとしたルールがあります。

 

実際にあるローマ典礼儀礼書を見てみると

 

  • どんな場合であっても、
    その者が本当に悪魔に憑りつかれているのか、

    もしくは妄想や病気、
    精神疾患なのかを見極めなければならない。
  • 任務を引き受ける司祭は、
    清廉潔白な生活を送っており、
    知的で、
    勇気があり、謙虚であること。
    特に重要なのは祈祷と断食。
  • 悪魔祓いの儀式は、
    教会の規則に則って行う事。

    迷信じみた儀式はどんな物であっても避ける事。
  • 憑依された者には祈祷と断食、
    告解(懺悔のようなもの)、

    聖体拝領(パンとワインを摂ること)による、
    悪魔祓いをしたいという気持ちにさせる事。
  • 悪魔祓いは、礼拝堂、教会、
    もしくは教会の小部屋で

    できるだけ少人数で行う事。
    十字架、マリア像を添える。

    両親や友人が儀式に参加することが好ましい。
  • 儀式は聖水散布から始まり、
    苦しむ者に十字架を掲げて、

    悪魔を排除すること。

 

結構しっかりとしたルールが設けられていますね。

 

聖書による祈祷と十字架を掲げることが主な儀式のようです。

 

祈祷の場所や親や友人が同伴という
細かい所は別として、
映画「エクソシスト」の悪魔祓いの描写は
かなり正確なことがわかりますね。

 

シーンで言っている呪文のようなものも、
実際に新約聖書に記載されているものです。
(一部エレミア書という旧約聖書の台詞もある) 

 

キリストの名のもとに命じるというセリフも、
実際に聖書に記載されており、
現代における悪魔祓いに使用されております。

 

それだけでもかなり体力や精神を酷使し
「恐怖」と隣り合わせの儀式のようで、
メリン神父が殉教(自らの信仰のために命を失ったとみなされる死)
してしまったのも納得してしまいます。

 

メリン神父は持病の心臓病があった為
それが災いし殉教という結果になりました。
ですがあれだけ悪魔を恐れさせていたのですから、
生きていればカラス神父も
命を落としてしまうことはなかったのだろうなと
正直に思います。

 

ですが、メリン神父の殉教後、
正式な悪魔祓いの方法もわからないカラス神父が
とった行動は、

 

「直接殴り、自分に乗り移るように脅す」

 

といった暴挙にも近い行動でした。

 

結果カラス神父に悪魔が乗り移り、
カラス神父は悪魔に乗っ取られる前に
家の窓から飛び出し、自分の命と引き換えに
リーガンの命を救ったわけですから
それだけ危険なものだったんでしょう。

 

カラス神父の心境の移り変わりでリーガンは救われた

 

まず、段々おかしくなっていくリーガンを
救いたい一心のクリス。

 

そんなクリスが最後に縋ったのが、

 

悪魔祓いを行うカトリック教会の神父である
「カラス神父」でした。

 

ですがカラス神父は、神父であると同時に
精神科医でもあるので、
クリスの話を聞いて即座に

 

「悪魔などいない、それは病気によるものだ」

 

と断言してしまいます。

 カラス神父は悪魔祓いの実績がなく、
「あくまで知識として知っている」、
その程度なのです。

 

前述した通り、
めったに行われることのない儀式なのです。

 

典礼儀礼書にもあるように
「病気か悪魔の仕業か見極めること」が
重要な悪魔祓いの儀式。

カラス神父がそういった対応になるのも
当たり前なのです。

しかもカラス神父は精神科医
「医者の目線」「神父の目線」の境界線で
長く悩むことになります。

と言っても、
終盤まで医者の目線だったんですけどね。

初めてリーガン(の中の悪魔)と対峙した時は
リーガンの状態を見ても
「病気」と断定していました。


サイコキネシス(?)で
引き出しを開ける


カラス神父の母親が
死んだことを言い当てる



これでも充分『悪魔憑き』に
該当している気がしますが
これは実は悪魔の巧みな
「錯乱させる為の嘘」が盛り込まれているんです。

悪魔は拘束されているので、
「紐をほどけ」と言います。
カラス神父は「能力で解けるだろう」と言います。
悪魔は「そんなしょうもない事で能力は使わない」と答えます。

これでは「ただの脅し」にしか見えません。

引き出しを開けた後、
カラス神父は「もう一度やってみろ」と言います。
悪魔は「いずれな」と応えようとしません。

これではトリックの可能性が拭えない状態です。

母親が死んでいることに言及した後、
カラス神父は、
「ほう、ならば母親の旧姓は?」と言います。
悪魔は答えません。

 

これでは「町の神父だから噂で知っていた」
という可能性が拭えません。

 

結果、カラス神父が「やはり病気だ」と判断してしまうんですね。
悪魔の思う壺です。
しっかり騙されています。


リーガン(悪魔)が逆さ言葉を使用した事により
精神疾患の可能性が拭えないが、
悪魔祓いができる条件は満たした」
と判断したカラス神父。

そして儀式の実績のあるメリン神父と一緒に
悪魔祓いを実行することになりました。

その際にメリン神父に


「悪魔と喋ってはいけない。悪魔は噓つきだ。
その嘘に真実を混ぜて我々を混乱させる。気を付けて」


と警告されます。

カラス神父はその嘘に翻弄されていたんですねw
そして前述した展開になるのですが、
カラス神父は儀式中に「神父としての役目」に気付くんです。

儀式が難航し、一旦休憩をとることになった神父二人ですが、
クリスがカラス神父に問います。

「あの子は死ぬんですか?」と。

その時に神父としてリーガンの命を救わなければいけない。

そう自覚したんです。

メリン神父とクリスが居なければ
リーガンが救われることもなく、
カラス神父は一生を
精神科医」として終える事になっていました。

 

方法は正しくは無いけれども、
命を賭して、間違いなく「殉職」したカラス神父。

序盤の陰気臭い印象とは逆に、
とても勇敢で格好良かったです。

 

物語全体で考えるとバッドエンドなんでしょうけど、
間違いなくリーガンは救われていますから、
この終わり方に全く疑問は湧きませんでした。

まとめ

今回は敢えてカラス神父に焦点を置いてお話させていただきました。

 

ストーリーを追って全て解説となると、
歴史上の人物や神話紹介、
聖書を引用しまくって話をややこしくしてしまう可能性がございましたので

「コイツ何言ってんだ?」と思うかもしれませんが
好きなように語らせていただきました。

 

さすがアカデミー賞受賞作品。
ストーリーだけでなく、演出や音楽も全て良かった…!!

 

気付けばこれ以上ないぐらい
画面にかじりついて見ていましたw

 

是非皆様に見ていただきたい映画ですね。

 

閲覧、有難うございました。