『グッドナイト・マミー』驚愕の映像と脚本のカラクリ
『グッドナイト・マミー』の紹介
概要
『グッドナイト・マミー』
(原題:Ich seh, ich seh、英題:Goodnight Mommy)は、
2014年のオーストリアのホラー映画。
あらすじ
森と畑に囲まれた一軒家に住む双子の兄弟は、母親の帰りを待っていた。
ところが、母親の顔は包帯で巻かれており、性格まで冷たくなり、
まるで別人のようになっていた。
そこで、兄弟は帰ってきた母親が本物であるのか正体を暴くべく、
彼女を試しはじめる...
監督・出演
監督・脚本:ベロニカ・フランツ、セベリン・フィアラ
母親 :スザンネ・ヴェスト / 日本語吹き替え - 根谷美智子
エリアス:エリアス・シュワルツ / 日本語吹き替え - 恒松あゆみ
ルーカス:ルーカス・シュワルツ / 日本語吹き替え - 青山玲菜
司祭 :ハンス・エッシャー / 日本語吹き替え - 砂山哲英
バウアー:クリスティアン・シャッツ
(エリアス&ルーカスは実際の双子が本名で出演)
『グットナイト・マミー』を見た感想・考察(ネタバレ)
『グットナイト・マミー』は是非2回見てほしい
最初に申しておきますと、
「胸糞」
「虫(ゴキブリ)」
「拷問表現」
が苦手な方にはお勧めしません。
この映画、仕様で一度目の視聴では意味が理解できないようになってます。
巧妙なテクニックですよね。
(単純に、時間と頭を使わずに視聴したい人にとっては
イライラしかない事実)
「双子の子供たちが偽物の母親と戦い本物の母親を取り戻そうとする」
が主なストーリー。
ですが…多分ですけど、なんとなーく見ただけだと
「母親がなぜか冒頭から子供にビンタするような人間で、
それから子供たちが母親を元に戻す為に頑張ると思いきや
母親が急にしおらしくなって
子供たちが逆にやり過ぎて母親を殺した」
っていうめちゃくちゃな展開に見えます。
「は?意味が分かんねぇ」と思う人はたくさんいると思います。
無理もない…ええ、無理もないんです。
筆者も2回で意味が分かり、3回目でやっと全体像が見えたので…
はい。率直な感想を申し上げますと
一回目の視聴後は
「痛い痛い痛い痛い痛い痛いやめたげてぇぇぇぇ」
「
が大半を占めました。
考察もクソもない、物凄くチキンな感想ですw
でも実際セリフも最低限しかないので、仕方のない事か…と思いつつ。
と言うわけで是非、
一度目は「目を凝らして違和感を覚えたところを記憶する」
二度目は「違和感を感じたところを見返す」
と言う見方をすると一気に意味が分かると思いますよ!
『グッドナイト・マミー』の真相解説(ネタバレ)
ではここからはカラクリを含め、真相をお話します。
先述した通り、初見だと
「双子の子供たちが偽物の母親と戦い本物の母親を取り戻そうとする」
話に見えるのですが…
実は違います。
実際は、
「死んでしまった兄弟の幻を見ている息子に、
偽物だと疑われる母親の話」
なんです。
そう、ホラーやサスペンスには必ず「犯人」や「襲う側」、「悪役」の存在がいますよね。
それが初見だと「母親」
でも、真相は「息子」なんですよね。
では、以下真相が読み取れるシーンを記載します。
長いですが、「あ!」となる部分はあると思いますよ。
最初の母親と話をするシーンでエリアスの服はドロドロなのに、
ルーカスは綺麗なまま。 →同じように遊んでいるのであればルーカスも汚れる筈。
お風呂上がり、
母親はエリアスの分だけジュースを注ぎはルーカスの分のジュース を注がない。 →母親の自然さを見るにルーカスのジュースをわざと注いでいない
ようには見えない。
3人でゲームをするシーンで、母親が子供たちから「
子供が2人いる」というヒントをもらって、困惑する。 →エリアスとルーカスの双子の息子がいる→「母親」
とすぐに分かるはず。
宅配で冷凍ピザを注文し、配達員がやって来る。そこにはなぜかエリアスのみで、ルーカスの姿がない。
→いつも一緒にいるルーカスが急に居なくなる。
野良猫を部屋に匿った際、
母親に二段ベッドの上をチェックされる。 突如ルーカスがいなくなる。 →同様。さっきまで居てた筈。
エリアスはルーカスに言われた事をそのまま度々繰り返して言う。
→わざわざルーカスの意思をエリアスが伝える必要は無いはず
母親が怒るシーン。
「もう遊びはやめにするわ」「服も一つしか買わないし、
朝食も一人分しか作らない」と、双子に対して1つをやたら強調す る。 →母親はエリアスに対してだけ言っているように見える。
という事はルーカスの分を用意しないということ。雰囲気から察しても、虐待的な意味での「用意しない」ではない。「ルーカス」は居ない、という事実が一番わかりやすいシーン。
教会に居る男性の前でルーカスは直接喋らず、エリアスにわざわざ耳打ちする。
→必要ないはず。
エリアスが冷凍ピザを食べているシーン。
ルーカスはその場に居ない(食べていない)。 →いつも一緒に居るのに突如居なくなる+食事をとらないというこ
とか?
このシーンから察せることは、
「ルーカスは存在しない」と言う事。
それを理解した上で最初から見てみると、
「事故で兄弟を失った双子の片割れが、
兄弟の幻像とともに母親を痛めつける」
という映像に変わります。
是非、お試しあれ。
『グッドナイト・マミー』の母親の真意
一見冷たく当たる母親ですが、
先ほどの通りに見ると、母親の立場も大きく変わってきます。
母親の行動を一言で表すと、
「おかしくなってしまった息子の正気を取り戻させたいと奮闘している」。
…なんなんでしょう。
皆が悪役と決めつけていた母親は、ただの「子を想う」母親だったんですね…
初登場シーンで冒頭で包帯グルグル巻きで、
ダウンタイムよろしく晴れ上がった顔、
双子への態度だけ見ると確かに「偽物」だと感じてしまうかもしれません。
ですが、先ほど解説したシーンを見ると
「ルーカス」の幻影を見続ける「エリアス」を正気に戻したいというのが見て取れます。
途中で「仲直りしましょう」と、優しく接するのも、試行錯誤してるんだな…と。
母親の視点で見てみると、本当に精神的に辛いシーンが山盛りで…
個人的に辛かったのは、最初の方で
夜、母親とエリアス(+ルーカス)が
付箋に書かれたものを当てるゲームをするのですが、
エリアスが出したヒントが、
「女性」
「動物が好き」
「子どもが2人いる」
「テレビに出ている」
「オーストリアの人」
でした。
(答えは『ママ』)
この問題の正解を出せなかったシーン。地味に心が抉られます。
今生きている息子は「エリアス」しかいないから、自分と結びつかない母親。
疑問がありつつも、トリックのヒントのシーンなんで仕方ないですよね…
あとは、
エリアスに「ママはどこに居るか答えろ」って言われながら拷問されるシーンでした。
痛いのもそうなんですが、
間違いなく自分が母親なのに信じてもらえないって…
心が痛くなりますね。
拷問の描写は、吐き気がするので割愛。
他の方の解説を見てみてください。
察しがいい人は、母親が懇願して
「ルーカスが死んだのは事故で、あなたのせいじゃない」
「またルーカスと話をするし、食事も二人分作るから」
と言うシーンで理解できた人も多いようですね。
まとめ・感想
非常に考えられた映画で楽しかったです。
本当に胸糞悪かったですけど…ww
クライマックスはどこか『ファニーゲーム』を思い出します。
それぐらい救いようがありませんw
ただ、ミスリードの手法が先行し過ぎてて、
脚本やストーリーに必要な細かい演出に少し粗が出ているかもしれません。
(嫌悪感誘う目的であろう虫のシーン絶対要らないと思うし)
それを差し引いたとしてもすごい映画だと思いますよ!
気軽におすすめできる内容ではないですけどね…w
普通の映画に飽きた際に見てみるといいかもしれません。
平気な方は是非見てみてくださいね!(自己責任)